こんにちは!
高校野球メンタルコーチのあつきです。
今日は、
勝つチームはなぜ声を出すのか?【意外と知らない声出しの効果】
というテーマで書いていきたいと思います。
「声を出せ!」「声が小さい!」
運動部に所属をしていた経験をお持ちなら一度はこの指導を受けたことがあるのではないでしょうか?
そこで長い間疑問に思っていた方もいるはずです。
なんで声を出すのですか?と。
「声出せよー!」と僕も部活の仲間に言ったことがあります。
でも当時この質問をされていたら、うまく答えられませんでした。
高校野球の現場に関わらせていただいているので高校野球の事例になりますが
強いチームは例外なく声が出ています。
声で相手を圧倒する迫力があり、声の内容も意味のある声がしっかり届きます。
なぜ声を出すのかを理解していれば声の大きさもどんな声を出せばいいのか、その内容も変わります。
今日の記事のゴールは声を出すメリットを知ることと、そしてどんな時にどんな声を出すことがパフォーマンスをあげるのかを理解することです。
目次
意外と知らない声出し効果5選
①恐怖を緩和する効果がある
②冷静な判断を促すことができる
③お互いの存在を認識し合える
④筋出力をあげることができる
⑤一体感をつくりだすことができる
効果的な理由を1つずつ解説
恐怖を緩和する効果がある
声を出すことが心理的にどんな影響を与えるのかを調べるために行われた実験があります。
恐怖を感じたら大声を出すようにと指示をしたグループをAグループ、
恐怖を感じても声を出さないようにと指示をしたグループをBグループに分けました。
それぞれのグループの恐怖を与えてからの脈拍数, 呼吸数,筋状態,が実験前の数値に戻るまでの時間を測定した結果、
Aグループが4.2分。Bグループが15.6分だったそうです。
つまり、恐怖を感じたときに大声を出した方が平常心に戻りやすい。ということが実験でわかりました。
また恐怖は反復すると言われています。脳の中に強くインプットされる感情なんです。
これを野球の試合や練習の場面で置き換えると1度のエラーや失敗は心理的に反復しやすいという特徴があります。
声を出すという単純なアクションだけでも失敗のイメージを断ち切ったり、恐怖や緊張を緩和する効果があります。
ただ、極度の緊張状態だと声すらでなくなってしまうことも事実として起こり得ます。
では緊張で声が出ないという状況を未然に防ぐためにはどんな準備をすればよいのでしょうか?
それは日頃からの声出しです。普段の練習から大きな声を出す訓練を積んでおけば高い緊張状態でも大きな声で恐怖や不安を緩和させることができます。
日頃からの声出しは本番につながっていますから、意識的に出して行きましょう。
冷静な判断を促すことができる
声を出すことで冷静な判断を促すことができます。自分で声を出すということは同時に自分の耳で自分の声を聴くことになりますよね。そこで自己認知が働くのです。
いまの自分はこういう気持ちなんだとか、こういう状況なんだなど。
声を出してそれを耳で認知していくと、頭が真っ白になるのを防ぐという効果があります。
試合の大事な局面で頭が真っ白、思考が停止してしまうような経験ってありませんか?
自分から声を出せているとしっかり置かれている状況を自分で認知することができ、
緊張状態の中でも冷静に思考を働かせることができるようになります。
存在を認識し合える
声を出すことでお互いの存在を認識することができます。
よくあるシーンではフライがあがったときにどちらがとるかは声を出すことで存在を認識させ、意思疎通を取ることができます。
中継プレーや内野ゴロの処理でも存在を認識させるための声は大事ですよね。
このときに意識してみて欲しいのは名前を呼ぶことです。
指示を出すときに名前を呼ぶことで明確に誰に伝えているのかがわかります。
また名前を呼ばれるだけで人は自分の存在を承認してもらえていると感じます。
このとき愛を感じるときに分泌される脳内ホルモンのオキシトシンが分泌されます。
オキシトシンはリラックス効果もありますので、浮足立っていると感じた仲間にはぜひ名前を呼んであげてください。
落ち着きを取り戻すきっかけになるかもしれません(^^)
筋出力をあげることができる
昨年から今年は無観客や有観客でも声を出せないので選手の声がより中継でも聞こえるようになりました。
特にピッチャーの投げたあとの声、印象的ではありませんか?
こんなに大きな声を出して投げていたのか、と僕は驚きました。
声を出すことで筋出力が5%〜6%あがったということが科学的に実証されています。
これをシャウト効果などと言ったりします。
もちろん声を出せばいいパフォーマンスがでるというわけではありません。声を出すことばかりに意識を向けていけば試合そのものへの注意が散漫になってしまいかねません。適度な緊張状態と集中状態があって声による筋出力UPにつながります。
また大きな声を出すことで身体が酸素を多く取り入れることができ筋力をほぐす効果もあるので声が肉体に与える影響は科学的にもポジティブな側面があるという事実を知っておきましょう。
集中力を高めることができる
スポーツでは心理的な限界が肉体的な限界よりも先にくると言われています。
どういうことか?というと頭ではこれ以上の力はもう出すことができないと思っていても、実際にはまだ筋肉にはまだ余裕がある、というように心理的な限界と肉体的な限界には少しギャップがあるのです。
これは筋肉や骨の損傷を防ぐために備わった本能のようなものです。
つまり、心理的に常に僕たちはブレーキをしっかりかけた状態で運動をしているのです。
このブレーキを外す役割が「声」です。
脳の理性や思考を制御する仕事を大脳の前頭前野と呼ばれる部分で行っています。
声を出すことでこの、前頭前野を妨害する効果があり、雑念を振り払うことができます。
雑念のない状態は集中力の向上を助けてくれます。
声は本能レベルでつくられているブレーキを外し、雑念を振り払う効果があります。
声は一体感をつくってくれる
元ヤクルトスワローズの宮本慎也選手は「声」についてこのようなコメントをしています。
「なぜ声を出さないといけないかというと、まずは『一体感』が生まれるということかな。」
まさにそのとおりで。声は一体感をつくる。声による一体感を感じた経験はみなさんにもあると思います。
思いが思考になって、思考が言葉になり声として出力されます。
思いが1つになっていても、声として出力されなければチームの一体感はできにくいと思います。
心をしっかり合わせて。気持ちをしっかり合わせて。声を出すことで一体感をつくりましょう。
一体感は試合の中で「流れ」を生み出します。
たまに負けているのに、まるで優位に進めているかのような雰囲気で試合をするチームがあります。
そういうチームは「声」で雰囲気をつくっています。
いい流れとは
『自分たちが相手より優位になっている心理的な感覚。その感覚がプレーにプラスの影響を与えている状態』
だと考えています。
つまり流れとは “心理的な感覚” なんですね。この感覚はどこから生まれるのは?
それは、選手の声。そして表情です。
いい表情でいい声をだす。これが流れのつくりかただと思っています。
現在優勝争いを戦う阪神タイガースの声出しの記事、とてもおもしろかったのでぜひ読んでみてください。
プロ野球チームでも声を大切に試合前に一体感をつくっているのです(^^)
笑顔と明るさで勝ちの空気はつくれます。
阪神タイガース、快進撃の理由は試合前にも? 「円陣」の裏側に迫る
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今日は
勝つチームはなぜ声を出すのか?【意外と知らない声出しの効果5選】
でコラムを書いてみました。
声を出すことで得られる効果を理解し、今日から声出しを大事にしようと思ってくださったり、指導に役立てようと参考にしていただけたら嬉しいです。
最後に人気YouTubeチャンネルのトクサンTVでも声を出すことについてが取り上げられていたので合わせて見るとより声についての学びが深まると思います。御覧ください♪
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